写真に出会ったころの1971年から2000年までの、主に休暇の時に撮りためてきたプライベイトな写真たち。同タイトルの写真展を新宿及び大阪ニコンサロン、京都駅ビルにて開催。

『HORIZON』は、音楽シーンを中心に雑誌などでも幅広く活躍している、おおくぼひさこの写真集。写真を撮りはじめた'70年代から最近までの、仕事やプライベイトでの写真が編まれているが、そこには集大成的な雰囲気や、様々な機会に撮られた違和感はまったくない。(思えば、18歳の時「カッコイイ」というだけの理由で始めた写真は私にとって、とんでもなく大きなものだった。自分自身を表現することを教えてくれたのはもちろん、大切な人との出会いの機会を与えてくれたのも「写真」だった。あの時、自分の意志で写真にめぐり会おうとしなかったら、今の私はどうなっていたのだろう…。)大上段に構えたところのない、このような素直な写真との関わり方を続けてきた作者が、日常の中のさりげない光景を写した写真は、その場所や物が漂わせる、独特の匂いのようなものを照らし出しており、読者はページを捲ってゆくうちに静かに別世界に誘われてゆくに違いない。


「日本カメラ」2001年9月号より